テイル・アンダークラスト -ハスミと最後の7日間-[八角家] (DMMはこちら)
八角家は前作「メルディスの剣」にて架空のヨーロッパを題材にした「読ませる」シナリオを提供していたサークルです。中世処刑人を主人公にして自前の筆力で世界背景の描写がよくできており、架空のフランス革命を題材にしたかのようなストーリーでした。
変わって本作ははるか未来2100年頃の話。読むとワクワクしてくるようなSF設定満載のエロRPGになっています。いわゆるインフィニティシリーズや未来科学シリーズなどのようにSF考察が好きな方にチェックしてもらいたい類のゲーム。同シリーズとは雰囲気が全く異なりますがシナリオの設計思想は近いものがあるかと。また、前作でも好評だった催眠関係のエロですが、前作は表現の仕方が一般的でいまいち注目を集められませんでした(個人的には好きなのですが)。ところ代わって本作の場合、エロの見せ方が大幅に変わっており、シナリオも演出も、そしてゲームバランスもパワーアップした作品になっていることが体験版だけでもわかります。長所をそのままに短所を克服しています。
未来世界を舞台にしたSF設定満載のストーリー
ハスミの元に未来から来たアンドロイドのマルコが訪ねてきて地底探検を誘うRPG。実は地底に落ちた隕石が宇宙生物を呼ぶ電波を発生していて、宇宙から未確認生物がやってくる前に隕石を壊さないといけないと未来の地球人類が絶滅寸前になってしまうようです。
まず、主人公のハスミですが、冒頭で人気の無い場所にいき(理由は不明だけど誘い出された?)、催眠により身体を操られながら輪姦されて処女を喪失するというシチュからはじまります。そして文章の投げやりさからゲーム開始以前になんらかの絶望するような処遇があったことが示唆されています。そしてアンドロイドのマルコは普段スマホの形をしている可変型ロボで且つ人格がない人工知能ですが、コミカルでロボらしい言動をしてハスミと語るとボケツッコミの良いキャラ(ロボ?)をしています。
いわゆる近未来を舞台にしたSF系シナリオでUMA(作中では別名称扱いで現実のUMAとは扱いが異なりますが)やアンドロイド、人工知能、タイムマシンなどの単語が目白押し。人工知能が現在から2100年までどのように発達してきたか、科学技術がどう進化したのか、隕石が人間の社会文明や各国の政治にどのような影響を与えたのかなどがゲームをプレイしているうちに明らかになっていきます。おそらく科学技術を重点として相当な下調べをした上でユーザーが納得しそうな理屈を作り上げており、単純に全年齢SF物語として見た時に、SFのワクワク感、説得力のある空想未来技術、その技術を使った人間世界がどんどん断片的に見えてきます。
▲未来を舞台にしているけど、主人公パートナーのアンドロイドはさらに先の未来から過去を変えるためにきたという複雑設定。どう伏線を収束させていくのか楽しみな1作。そして用語集なども詳細
まあ、欲張りな欠点と言えば規模で言えば自衛隊基地と地底探索のみの狭い範囲なので、「こういう技術があるよ」という紹介は各人と話すことで次々でてきますが、「こういう技術を使っている」という描写はほんの一部に限定されてしまいます。
自衛隊基地の中でも初期登場時は人間に間違えるほど人間味のあるアンドロイドをはじめ、研究一筋の女性や博士、自衛隊員などが登場。
▲ショップ店員さん。初めは人間と思わせておいてから、いくつかのミニイベント後(この時アンドロイドが人間と区別がつかなくなることを示唆)して翌日に正体は人工知能だったと伝えるセリフ。こういう伏線と回収のタイミングが良いのも本作の長所です。
▲様々な自衛隊関係のキャラが。中にはマルコのいる時代に活躍していたキャラもおり、未来で何をしたかをハスミ語るような一幕も。
テキスト力や物を噛み砕いた説明、キャラの楽しい掛け合いで設定を覚えてもらうことができる製作者さんで、小難しい話が嫌いな方もすらーっと読んでしまえると思います。主人公とアンドロイドの会話に突っ込みどころが多くて面白い。でも説明の中に多くの意味が含まれているため考察系も盛り上がるなと。2100年を舞台にしていますが、断片的な情報からこの時代の科学や政治、文化などを考えるだけでも楽しいですよ。
催眠や拘束、媚薬などに特化した状態異常フェチを取り入れた戦闘システム
各章は自衛隊基地が拠点で彼らと会話をして情報を集めつつ、地底ダンジョンをどんどん潜っていく形式です。ダンジョン中もで新モンスターとエンカウントすると必ずハスミとアンドロイドの会話があり、その他新アイテム入手、鉱物発見など要所要所で頻繁に会話が発生します。また、各ダンジョンで隕石の秘密や隕石のせいで変化してしまった環境などが次々に明らかになっていくため、物語的にも探索の面白さがあります。戦闘での会話を聞くと魔物についても全てに詳細な設定があり、ボスだけでなく雑魚でも単なるモンスターと言わず考察の材料にできそうな情報がたまります。特定のアイテムを持っていると壊せるようになる地点や暗闇の中手探りで進むダンジョンなど仕掛けも豊富。
▲謎のこだわりか、それとも壮大な伏線が混じっているのか不明ですが地底で鉱石が見つかると、うんちく語りが始まるなど。戦闘会話もこの通り、自然な会話でプレイヤーにヒントを与えてくれます。
▲ダンジョン内ではハスミや自衛隊関係者以外に暗躍する影も。
そしてダンジョンで発生する戦闘ですが、かなり特殊です。ハスミはソード(アンドロイドが変身した姿)で戦うのですが、装備を変更することで敵に合わせて多段通常攻撃ができるタイプか強力1回攻撃ができるタイプを選択できます(他にも特性の違いがあり)。
また、ツクールで言うTPに該当するGainという概念があり、戦闘中の攻防で増減します。技を使うのにも必要ですが、単純に攻撃力が増加します。そのため、技を使用するとGainが減り攻撃力も下がってしまうというデメリットも。
そして本領は戦闘で必ず1度だけ行うことができる変身。変身ヒロインものみたいに立ち絵が変化するエフェクトあり。好きなタイミングで変身でき、ステータス強化などは当たり前ですが、その場でHPが全回復し全ステータス異常が回復するという仕様。ただし戦闘中1回かぎりなのでいつ変身するかの戦略性が問われます。
他、敵が属性攻撃をする時を狙って使用したい属性シールド「E-チャージ」などの機能も。ちなみに複雑そうに見えますが、シナリオ進行にあわせて少しずつ開放されますし説明もハスミとマルコの会話中で面白く簡潔に行っているため、すんなり理解できると思います。
それで、これだけ便利な機能があるので簡単かと言われれば難易度は高めです。それだけ窮地に陥りやすい戦闘バランスでもあるんです。ちなみに前作の戦闘バランスは調整不足も否めなかったのですが、今作ばすごく練られており戦闘し甲斐のあるバランスです(ちょっと敵の体力が高い気もしますが)。
戦闘の難易度を上げている原因。それは敵が使用してくる状態異常攻撃です。雑魚からボスまで様々な催眠系、拘束系、発情系など様々な状態異常を仕掛けてきます。そして複数状態異常にかかるとどうしようもなくなるので「変身」して回避します。また、変身後はどちらの武器モードかで変化しますが、変身後は片方は催眠系状態異常を完全カット、もう片方は拘束系状態異常を完全カットします。
▲状態異常になったら変身で回避。もちろん回復アイテムもありますが、正直追っつきません。
それぞれの状態異常攻撃にはハスミの様子が変化してしまうカットイン付き。種類によっては異常が進化するたびにカットインの内容が変わる気合の入り様。難易度が高い代わりにシコりやすい戦闘になっています。
また、エッチシーンは主に戦闘敗北系とメイン・サブイベント。戦闘同様にシチュは催眠や媚薬成分が多め。上記で述べた冒頭の処女喪失シーンですが、男共に囲まれた上、未来技術の何かで催眠をかけられてしまいます。心は嫌がっても身体は男の命令に逆らえなくなり、そして自ら男に跨って処女を喪失しながらも催眠のせいで感じてしまい最終的に絶頂してしまいます。エロシーンはCGをすぐに1画面に表示せず、部分部分を表示しながらテキストが進み、最終的に全身を表示するような演出方法です。
▲エッチにも未来のテクノロジーが使われている点は本作特有の特徴かと。未来になってエロテクノロジーはどう進化したかなどはエロSFだからこそのネタですよね。そして、演出も画面効果を上手に使っており股間に響きます。
▲何故かマルコの中に入っていた催眠音声を気持ちよく聞いていると……。
他、戦闘敗北が多いのですが、スライムに敗北したらスライムのフェロモンを利用した媚薬シチュ、踊るガイコツに敗れると意識があるまま身体を操られて骨相手に絶頂してしまうなど多くの雑魚戦、ボス戦に催眠系を中心とした敗北エロが行われます。無理矢理と言えば無理矢理なんですが、テキスト描写そのものは甘美な快楽を与えて最終的に絶頂してしまうソフトな描写です。CGは攻められ方が激しいけど顔は快楽に解けています。表情がとても耽美にいやらしく見えます。
ちなみに未変身時はマルコが緊急脱出して敗北エロを回避、変身した場合はマルコが力を使い果たしてしまい敗北エロ発生という仕様です。
▲体験版だけでも相当数の敗北エロが存在します(10種ぐらい?)。それぞれテキストもほど良く催眠系などが好きなら様々な種類のそれらシチュが出現します。
SFを下敷にした考察しがいのあるストーリー、読みやすいテキストで進む会話シーン、状態異常を中心にした様々な機能を使った戦闘システム、催眠や拘束に特化したフェチズムを貫くエッチシーンでシナリオ、エロ共に気合が入ったゲームだと感じました。また、今回の感想では全てを紹介できなかったほど独自のシステムも様々用意されています。
▲鉱石関係のうんちくが山ほどあるので、それらの無駄知識がたまっていきます。
プレイ予定ですが、現在プレイするゲームがたまっているため、公開は少し遅れるかもしれません。
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