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タイムクライムパラダイム[どくりんごサワー]
タイムトラベルやパラレルワールドを扱うSF系題材を扱った貴重なR18同人RPGは「アンチバタフライエフェクト」や『テイル・アンダークラスト -ハスミと最後の7日間-(こちらは時間ものよりは未来SF系統に近い)」などがあります。
タイムリープ系としてはよくあるシナリオですが、RPGツクール作品であり、タイムリープを駆使したシステムもあるため、インタラクティブ性に富んでいます。また、登場人物達がぶっ飛んでおり、他サークルでは真似できない個性付けをしています。ノベルゲームとはまた一風異なる刺激を体験。現状はその種の作品が少なく、本作は新たな作品として語られそうな1作です。
科学者のタイムは未来から来た自分の息子であるソレル君から、自分が将来タイムマシンを作ること、自分の身体が未来の犯罪者タイムリーパーに狙われていると告げられます。タイムとソレルはタイムリーパーを撃退するため、悪徳の町へと入ります。タイムクライムパラダイムは、この町の中でタイムリーパーの手がかりを探して調査するフラグアドベンチャーです。RPGの戦闘部に簡易的なシューティングを取り入れています。
▲魑魅魍魎の暗黒街へ。(作中は製品版以後もそこまでギスギスはしていません。)
バッドエンドで証拠を握って前時間へジャンプするタイムリープ前提のアドベンチャー
まず目を引くのはオリジナリティの高いグラフィックとUI。歩行キャラやタイルセット、そして全ての立ち絵を自作しています。レトロと現代のドットが混じったような暗黒街の不気味さと怪しさ、ポップテイスト溢れる可愛らしいキャラ描写。他のサークルでは真似できない世界観を築いています。
UIも画面右1/3をプレイヤーキャラ立ち絵とメニュー、左下1/4を会話メニュー。残りにマップを表示する手法を取っています。町の外部は横スクロールアクションと同じような側面型でほぼ横移動や奥行による前移動に限定し、建物内部は普通のRPGのような見下ろし型となっています。この独特のマップチップの中を動き回ってフラグを立てていきます。
主人公のタイムちゃんは科学者っぽく理屈で物事を決める性格を持っています。おおらかな性格をしており、犯されても(タイムリープで戻れるし)仕方ない程度で割り切ります。譲れるものと譲れないものがあり、独特の価値観を持った女性。
息子であるソレルは弟として振る舞いながらバックアップします。彼は道案内役であると同時におとなしめの少年が背伸びしているような印象を受けます。見るからに好青年であり、作中のおかしな女性達から様々なアピールを受けます。女難の層があるのかも。
そして紅蜃街に住む奇怪な面々。ソレルに執着する金貸しのオーナーやホテル住まいの少女など、「変な女」が多い印象を序盤で植え付けつつ、中盤以降はどくりんごサワー特有のどこかぶっとんだ言動をしながらも可愛らしいキャラが登場します。前作「アヤネポップスタンプ」をプレイ済みの方はアヤネぐらいぶっ飛んでいると言えばなんとなく分かるかも。
例えば、1年中クリスマスイルミネーションに包まれている地区で一人の人形に出会います。ハロウィン系の外見をしており、表情も人間をやめちゃってて、お前機械だろと丸わかり。本来は不気味なはずなのに憎めない風貌の顔絵。そのハイテンションさ目玉の表情で、はちゃめちゃな言動をします。意味不明で奇怪ながらも何故か、愛でたくなる不思議なキャラです。また、後半では一つ目女が登場し、サブキャラはまるでサーカス団のような変なキャラが増えます。
はちゃめちゃだけど、何故か憎めず可愛く見えてくるキャラ作りは「ポストアポカリプスベーカリー」などじぃーま作品のキャラ作りと似ている部分もあるかも。どくりんごサワーのキャラははちゃめちゃ系と真面目系の2パターンに大きく分かれていると思います。
▲言動が奇抜ながらも、こちらに対して好意さも感じる不思議な猫型じゃないロボット。私の今作のお気に入り。
▲過去作キャラからは「アヤネポップスタンプ」のアヤネちゃんがゲスト出演。「まりもエクステンション」キャラも人形という形で登場。
主要人物との会話は立ち絵を左上画面いっぱいに載せた特殊なシステム。イブバーストエラー系のそれで、「TALK」で会話、「SEE」で周囲やキャラの様子を見ます。対して殴る「HIT」、歌う「SING」、胸をモミモミする「KNEAD」、抱きつく「HUG」などもコマンドで選ぶことができ、それぞれ対話しているキャラが、何してるのこいつみたいな反応を示してくれます。つまりイブバーストエラ－系での会話と同じ雰囲気。
▲主人公の奇抜な行動に振り回されるサブキャラ達
また、後半になると「SEX」が解禁。立ち絵ありのキャラは9割が女性のため、タイムちゃんの百合プレイ……は特に発生せず、同行しているソレル君がタイムちゃん公認の元、女性キャラに襲われちゃいます。1割の男性はタイムちゃんが男とのエッチ対象になります。
本作独特のシステムがタイムリープできるスマホ。ゲーム内のスマホ所持時にいつでも、その章の開始から再プレイが可能です。その際にタイムちゃんの記憶は持ち越しのため、情報を集めながらリープすることで「処女を奪われたけど、重要な情報を得て処女の地点までリープ」「100万を使って鍵をGetしたけど、リープして鍵屋に覚えた鍵を複製してもらう」「敵敗北で監禁された時の情報をリープで持ち帰り、それが重要な話を聞くためのフラグになる」ことも。
また、「監禁してスマホ没収ボテ腹エンド」「ゾンビになって同種の男ゾンビに犯されるバッドエンド」などスマホを使えない状態まで堕とされる場合もあります。その場合は、施設内徘徊をして男達に犯されながら、最終的に理由が分からず助かったり、特定人物がリープさせてくれます。理由は終盤に判明します。
つまり、シナリオ的なループをシステムに組み込んでいることと、敗北バッドゲームオーバーから地続きで物語が進む2種類の特徴があります。
第一章は、このタイムリープスマホを使う前提の2種類のルートによるクリア方法があり、第二章はタイムリープ前提で情報を集めるようなギミックがあります。アドベンチャーとしての面白味はこの序盤2章に詰め込まれ、第三章をターニングポイントとしつつ第四章以降はほぼ一本道のシナリオへと変化します。システム的にタイムリープスマホを使う機会がほとんど無くなる代わりに、物語はSFタイムトラベルものとしての本領が発揮するパート。敵側の事情が判明することにより、時間に関する話がより大胆になり、序盤のバッドエンドや各種情報に詰め込まれた伏線や前フリの謎が次々に明らかとなってきます。舞台も町とは関係の無い大学内や和風マップなどが登場し、これまた独特のドット風景を見せてくれるようになります。
▲第一章の表から正々堂々と乗り込むルート。
▲戦闘に敗北すると監禁され強制的な子作り。そして、正規ルートでは見れない敵側の裏事情が分かります。
▲監禁後、さらに脱出パートで捕まるとバッドエンドルートへ。その後、スマホがないけどないけどんだかんだで助かります。
▲対して裏ルートは、侵入するための鍵を貸してくれるものの、いざ乗り込むと簡単に捕まってしまいます。どうも鍵をくれた中華店のお姉さんがスパイのもよう。ということで、このイベント後は「中華店のお姉さんが怪しい」と知識を得たので選択できなくなります。
▲が、鍵の形状を覚えたので鍵を作ったもらって本格的な裏ルートが可能。こちらでは、表とは別のキャラが手伝ってくれます。最終的に表も裏も収束していきます。
合わせて敵役側も絶対悪を貫くようなキャラや、目的達成のためなら他人の命などどうでも良いよいなどこちらも悪役系魅力に溢れています。それぞれ強烈な信念と、信念に相反する場合の攻撃性を持っており、インパクトが大きい。
そして、最終章になると大学以外の今までプレイした場所にも移動可能になり、様々なエロイベントも解禁、ラスボスに向けての準備や最終的な交流を育むことになります。
メインシナリオは多少の罪悪感や虚無感がありつつもすっきりした終わり方をします。並行世界に関する設定は単純でありながらも、、世界設定に関しては、作中の情報を繋ぎ合わせなければ最終的な(特に未来から現代にやってきた人間の)世界構造が把握しにくい考察系のシナリオです。序盤のさりげない会話にも伏線が混じっており、2周プレイしたくなる物語構造です。
1画面弾幕シューティングな戦闘
タイムクライムパラダイムの戦闘は縦9マス×横5マスからなる弾幕シューティングです。画面スクロール等は無く、基本の敵配置は固定。一部のボスやボス戦の雑魚敵、そしてハートは一定の規則性を持って移動します。最上位にいる敵親玉を破壊するとクリア。敵からは様々な形をした弾を放ちます。単純に下一直線だけもあれば誘導弾、全方位攻撃、波状ビームなど様々。
ただし、自機の移動が1タイルごと、そして被弾もタイル単位です。おそらくツクールの限界ですが、機微な動作がしにくく、自機が触れていない箇所で被弾するため、慣れが必要です。特に敵の弾は自機の移動と異なり、普通のシューティングのような動きをするため、被弾しないと思って1歩移動したら被弾したことも何度か。
自機には体力とスタミナがあります。体力は被弾すると減少し0になると敗北。RPG内で自動回復アイテムを購入していると1回のみ回復します。ボス戦前はEASYとNORMALが選べ、回復量が変化。
ハートマークに接触するとスタミナが減少します。加えて黄色の場合は脱衣、ピンクの場合は1枚カットインのセクハラが発生。脱衣状況によってカットインの内容は変化。そしてスタミナが0且つ完全脱衣時に接触すると、敵の種類に応じたエロイベントが発生します。脱衣は戦闘が終わっても継続。なお、ハートマークは雑魚戦のみでボス戦はガチの戦闘オンリーです。
▲ハートマーク接触で発生するカットイン。
▲立ち絵のテキストエロ。
敵シンボルの雑魚戦とボス戦があります。雑魚戦は力押しでサクっとクリアできる難易度。ただし、経験値等のメリットは一切無いため、エッチシーンを見たら敵シンボルを避けるようにプレイしました。幸い敵シンボルの動きは遅いため避けるのは容易です。敵シンボルは規則に則って弾を放ちます。
ボス戦は、敵の体力を一定数奪うことでテキストイベントと共に5～7段階分、攻撃方法が変化します。敵の攻撃方法もキャラの特性を活かしており、例えば包丁を武器にする敵は細長い包丁攻撃を仕掛け、2体敵がいた場合は副キャラの方が下方面から攻撃を仕掛けてきたりします。
▲ボスごとに色・形・速度・軌道が異なる弾を放ってきます。
▲一定ダメージを与えるごとに発生する敵の決めセリフテキストと一枚絵カットイン。
本作のボス戦は雑魚戦と異なり画面を埋め尽くすような激しい弾幕の嵐で高難易度です。弾幕の動きに規則性があり、弾の隙間ができる場所を探して自機の場所を確保しつつ、敵に少しづつダメージを与えていきます。少なくとも適当な敵配置では無く、絶妙に考えられて作られているため、高難易度弾幕シューティング好きだと、楽しめそうなボス戦ばかりです。ツクールの仕様制限と1画面の中だけで、よくここまで豊かなバリエーションを実現したなと感嘆するほど。
ただ、「RPGの戦闘を〇〇にする」ゲームデザインのゲームは、どの作品もこの「戦闘部分を遊びたい」「戦闘部分が面倒」の立ち位置の解消法に四苦八苦していますが、本作も例外に埋もれず。この難易度は、シューティング初心者にとって物語が進めず詰んでしまう足かせになっています。ボス戦でクリアできずに止まっている方も多くいそう。そしてSTG好きにはボス戦を何度も楽しみたいのに物語が邪魔をする弊害もあります。
(注：現在、私がプレイした時よりもイージーの難易度を低下させる修正、及び任意でキャラ無敵化クリアがなされているようです。)
エッチ関連はタイムちゃんが戦闘やイベントで犯されるシチュと、息子が母親公認の元に様々な女性に絞られるおねショタの2段構え
エッチ関連は、町中でのNPCエロと戦闘中エロ、戦闘敗北後のバッドルート(タイムリープ以外で元に戻れない)、それから終盤の主要キャラとのエッチです。テキストは若干、犯されている女キャラ(主にタイムちゃん)が冗談じみた反応をしています。状況を仕方なく受け入れており、早く終わって欲しいなぐらいの冷淡な反応。また、科学者肌からか内容を分析したりも。身体は感じており、素直にセックスそのものは楽しむことが多いです(例外もありますが)。そのため、テキスト関係は人を選びそうな気がします。
その代わりに、内容はオリジナリティの高いシチュが多め。例えば序盤に握手で10,000円くれるおじさんが登場します。彼と握手すると何か注射されます。すると特定場所で毎回、主人公の膣がオナホとして使われるイベントが発生。何もない中で主人公が感じてしまい、あげくの果てに精液が詰め込まれてしまいます。他にも、幽霊に遠距離から犯されるなど、体に触れていない状態でヤられてしまうシチュが複数あります。その他、敗北バッドゾンビ姦、性奴隷として囚われる、売春壁尻イベントなどなど。
▲遠距離オナホ。
また、エッチした後にタイムスリップすると、心は経験済みだけど身体は処女の主人公が出来上がり。エッチしたまま次の章にいくと非処女で固定してしまうことは注意点ですが。鏡で回想を見ると処女なのに前回の経験内容が書かれてたりします。
▲エロステータス。前回のエッチした内容が書かれます
その他、最終章になると敵のセクハラによる脱衣することにより全裸徘徊が可能。サブキャラやモブ達が罵ってくれます。残念ながらイベントに該当するレベルの内容はありませんが。
もう1つの特に後半でメインとなるのは弟のソレル君。タイムちゃんは犯されることにはそこまで抵抗が無く合意無きエッチ時もしょうがない程度の気持ちでいます。それは自分の息子に対してもであり、お世話になる女性が息子を狙っていても、お金と引き換えに「母親公認」となったり、「面白そう」という理由でソレルに女性を差し向けたり。
▲ソレル君は立ち絵ある女性キャラに気に入られる運命。
▲序盤から終盤まで何気に長い間お世話になることになる女性キャラ。おねショタ強し。
後半では、息子に知人の女を宛がうシーンが複数。対する息子は性に敏感で潔癖なお年頃であり、女性に抱かれることに抵抗を示します。また、立ち絵ありの女達も総じてエッチにはおおらかであり、母親からソレル君使っていいよと言われると、喜んでエッチしてしまいます。(男女の性別が逆転してない？)。そのため、おねショタ系逆レイプ風味は多め。
サブキャラとして後半に活躍する人形や一つ目など魔物娘系に属するキャラも(ソレルとの逆レイプ風味)エロシーンが用意されています。
プレイ時間は5時間30分ほど。エッチーシーンはイベント関連が6、サブキャラ(立ち絵トップ画像があるキャラ)が6名(全てソレルが絡みます)、戦闘中スタミナ0時のエロが12種類の計24です。全体的にエロボリュームは控えめ、シナリオボリュームはぎっしり。1,2章のようなタイムリープをシステムに組み込んだADVを後半も入れてほしかったと思いつつも、シナリオには大満足のゲームでした。RPGとして登録されているゲームのため目立っていませんが、シューティング部分も面白いですね(シナリオ目的の場合は足かせになる場合もありますが)。考察の余地を残した時間ものSF系シナリオが好きな方にはプレイして欲しい1作です。
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