【エロRPG・同人エロゲの歴史】その2:2000年代前半、遊べる商業エロゲの傾向

本企画の目次はこちらです。

エロRPG・遊べる同人エロゲの歴史 目次
エロRPGと遊べる同人エロゲの歴史を追ってみる企画です。2000年代以前にも任天堂ライセンスの無いスーファミソフトの発売などは、ほぼ同人と見...

前回はアングラ方面で発達してきたツクール製エロRPGの話をしました。そしてアングラの集大成であり、原点として表に出てきた「Succubus Quest」。このゲームの衝撃を知るため、そして今後の話を円滑に進めるためもう2点ばかり別の視点が必要です。

まずは、その1つ、遊べる商業エロゲについて。

1999年に発売した冬の町を舞台にした泣きゲー「KANON」、1997年に発売した学園ラブコメ「ToHeart」がきっかけで2000年代前半にブームとなった泣きゲー路線。この影響によりエロゲ=泣きゲーと言ってもよいほどノベルゲームが主流に変化していきました。遊べるエロゲ衰退はこれより前から始まっていましたが、泣きゲーの流行が拍車をかけたのは言うまでもありません。フリーのノベルゲームツールを使うこと、又は商業ノベル用ゲームエンジンの利用権を購入するだけで、RPGやSLGを作るよりも原価がかからないためです。
さて、前回のアングラエロRPGと同時期である2000年から2006年の商業エロゲを見ていきます。

この頃、遊べるエロゲが減ったかと言えば、私の体感で言えばそこまで減っていません。「EVE Burst Error」や「同級生」、「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」など複雑なシステムを持ったアドベンチャーがノベルゲームへと代替わりしたことは確かです。それらアドベンチャーを「遊べるエロゲ」と定義すると確かに激減しました。

でも、RPGやSLGで言えばそれ以前と同頻度で発売しています。「 WORDS WORTH」「ドラゴンナイト4 」のエルフがアドベンチャー路線に方向転換しました。アリスソフトは求められる品質が高くなり、発売本数が減りました。代わりに、ソフトハウスキャラ、エウシュリーなど今現在活躍している遊べるエロゲを作るブランドは、この時に出ています。ライバルが少なかったためか、新鋭ブランド達は着々と独自のゲームエンジンをパワーアップさせ、現在では他ブランドが簡単に手を出せない分野を作れる地盤を整えていきます。

今現在アクアプラスとして活躍しているリーフは和風ファイアーエムブレム系のSRPG「うたわれるもの」を発売して大ブレイクしており、以後暫くは全年齢に移行するまでの間、いくつかの遊べるエロゲを発売しています。エロリアルタイム3Dの代表格「ILLUSION」は、今でこそ遊べるエロゲから遠ざかっていますが、当時は興味深いRPGやTPSなどを発売しています。

具体的には90年代も2000年代も数少ないブランドがマニアの心を突いて隙間産業的に人気を得ていた時期だと思います。いくつか有名な各ブランドの2000年から2006年の状況を見ていきます。

アリスソフト

2002年に約8年ぶりとなるランス新作「5D」、2004年に新生ランスとして名高いウィザードリィ系ダンジョンの「Rance VI -ゼス崩壊-」を発売。また、地域制圧として今でも名前が知れ渡っている大番長も2003年に発売しています。私個人としてはペルソナ的な雰囲気が漂う2001年の「夜が来る!」やモンスター捕獲ゲー「GALZOOアイランド」なども好きでした。その他低価格路線戦略で「DALK外伝」「ままにょにょ」など開発期間短めの低価格路線も同時進行しています。アリスソフトはこの時期、90年代同様とても熱い時期であり、遊べるエロゲならアリスソフトであることをさらに定着させました。

また、外せない出来事としては、2003年に「配布フリー宣言」としてランス1~3を含む旧エロゲを第三者が無償公開できるようにしました。2003年は目ぼしい、話題作として挙げられる作品があまりありませんが、それこそ「サキュバスクエスト」と同発売時期である2006年9月には「鬼畜王ランス」「闘神都市2」「ぷろすちゅーでんとG」など、今の基準で見ても同人RPGを遊ぶユーザーなら、ほぼ楽しめるであろう大作を新たに追加しています。余談ですが、次の配布許可か古いゲームのDL版販売を追加してほしいこの頃。90年代の名作も「DiaboLiQuE」「闘神都市(無印)」「王道勇者」「アトラク=ナクア」などが眠っています。

GALZOOアイランド
GALZOOアイランド (FANZAはこちら)
▲ウィザードリィ系3Dダンジョン+モンスター捕獲ゲー。当時はやり込みました。

RanceVI -ゼス崩壊-
RanceVI -ゼス崩壊- (FANZAはこちら)
▲新生ランスとも言うべき壮大なシナリオ。中盤のどんでん返しやランスの生き様など今見ても名作だと思います。

その他、ペルソナな雰囲気を持った現代RPG「夜が来る」もDL販売していない貴重なRPGですが公式サイトで雰囲気だけでも。

Studio e.go!

原画の山本和枝氏をはじめ、現でぼの巣製作所のスタッフが在籍していたブランド。現代人の和風世界観異世界転生ものダンジョンRPG「IZUMO」2001年に1が発売され、2000年代の10年間でシリーズ化しました。また、冒険者達が活躍するRPG「メンアットワーク」シリーズも1999年~2006年にかけて行われています。その他、アクションRPGの「ひとがたルイン」や和風ファイアーエムブレム型戦略SLG「夏神楽」シリーズなど、当時はアリスソフトと並ぶ遊べるエロRPGの代表格でした。現在のでぼの巣も当時と同じくコンスタントに作品をリリースしていますが、知名度で言えば落ちている気がします。

このStudio e.go!の大きな功績は、当時2Dが主流であったエロRPGに3Dポリゴンを使った2.5Dを真っ先に導入した事です。空の軌跡のような2.5Dで表現されたダンジョンを歩き回り3Dを使った派手な戦闘エフェクトを使った白熱する戦闘、PS2のAAAタイトルには及ばないものの、他エロゲブランドとは大きな差別化を図っています。

箱庭として作られた学園内を回ってヒロインとコニュニケーションを深め、冒険に出る「メンアットワーク3」は私達が求めていたRPGらしいRPGだと思います。他のStudio e.go!作品はほとんどがメインシナリオのノベルゲーを進め、合間にダンジョンや戦略SLGがある形式でした。

IZUMO スペシャルパック
IZUMO スペシャルパック (FANZAはこちら)
▲当時は1作1万円近くしたのに、今はこんなに安いのかと。今のツクール作品と比較しても戦闘関連はよく出来ています。

イリュージョン

現在はリアルタイム3Dエロの最先端のブランドであり、2000年代も同様に他社の追随を許さない最先端でした。現在はインタラクティブシミュレーション色が強いイリュージョンも、この頃は試行錯誤の日々であるのか、発売するタイトルを見るとコンシューマーの人気ジャンルをエロ化しようと試みた形跡があります。

例えば2000年に発売したBRUTISH MINEは現代アメリカを舞台にしたコマンドバトルRPGで、FF8のような戦闘UIや町構造をしています。シナリオの出来等はイマイチですが、当時FF的なエロゲということで話題になりました。2002年,2005年に発売したバトルレイパー1,2は3Dの格闘ゲームにエロを付加したゲーム。格闘ゲームとして面白いかどうかはともかく、リアルタイム3Dな格闘にエロを持ち込んだことで独特のエロさを出していました。そして2002年発売の「DES BLOOD4 〜LOST ALONE〜」。3Dキャラを用いたドラマとRPGに町に該当するスラムなどを歩きまわる面白さ、そしてガンシューティングのダンジョンで、今となっては粗いポリゴンですが、当時は最先端を行くゲームでした。

DES BLOOD 4
DES BLOOD 4 (FANZAはこちら)
▲物語の途中で終わっており、エピソード2の開発が待ち遠しいと思いながら、すでに15年立ってます。そろそろ今の技術を駆使した続編が欲しい。公式サイトに断片が残っていました。これを見るだけでもなんとなく楽しさや当時のILLUSIONの凄さが分かるかと。(断片1断片2

エウシュリー

商業エロゲの分野で遊べるRPGを高品質で作るブランドはアリスソフトかStudio e.go!の2つのみでした。その中で突如1999年に現れたブランド。エロゲでは珍しい本格的なRPG「戦女神」を1999年に、「戦女神2」を2002年に発売しています。また、本格的なファイアーエムブレム系統のSRPG「幻燐の姫将軍」を2001年に、「幻燐の姫将軍2」を2002年に発売しています。

この頃のエウシュリーは、まだまだ知名度の低い存在ですが、一部では遊べるエロゲを作る新鋭ブランドとして知れ渡るようになります。補足しておくと、この頃の戦女神はステータスのみの拠点で装備などを整えつつダンジョン攻略をするRPGです。シナリオ関係は本格的で、私が感想を書くなら、メインシナリオ+ダンジョン攻略のRPGと言えば良さそうです。

戦女神II~失われし記憶への鎮魂歌~
戦女神II~失われし記憶への鎮魂歌~ (FANZAはこちら)
▲戦女神は当時のエウシュリーの出世作と言ってもよい名作。永遠の命を持ち、過去の記憶は失っていく同一主人公を使って大きな歴史をなぞる壮大な物語で各シリーズを全てプレイするとシナリオに深みができます。

Leaf

泣きゲーを普及させたビジュアルノベルの代表格ブランドですが、2000年に現在の看板作とも言える代表的な遊べる分野のゲーム「うたわれるもの」を発売。和風世界観のSRPGで人気を博しました。実はこの後あたりから、Leafはスタッフの離反を含めて冬の時代が来ており、ビジュアルノベル関連はほとんど全ての作品で外してしまいます。そのためか2005年に「Tears to Tiara」を発売した後、じょじょにアクアプラスとしてコンシューマーに移行していくことになります。

ソフトハウスキャラ

2000年2月に「葵屋まっしぐら」で突如現れた経営シミュレーション系のゲームを作り、現在は遊べるエロゲとしてアリスソフトの次ぐらいに外すことができない有名なブランド。テンポよく進む経営部分と経営に合間に挟まれる大量のヒロインとの小ネタ、今風で言えば段階差分を導入した膨大なエロ数で人気を得てきました。

中でも、ダンジョンを運営するドラゴン男を描いた2004年発売「巣作りドラゴン」は、ソフトハウスキャラを人気にした一大タイトルです。現在は「ダンジョンメーカー」がリスペクトしたゲームとしても有名。その他、2001年「真昼に踊る犯罪者」、2003年「レベルジャスティス」など定期的に面白いゲームを輩出しています。実は巣作りドラゴン以降は暫く凡作が続き、次に開花するのはサキュバスクエスト発売よりも後。おそらく倒産の危機と戦っていた時期でないかと思います。

ちょっと変わった小ネタとして、今でこそ過去作のDL販売やCi-enでは有料支援者報酬に1,2作目配布などを行っていますが、当時のソフトハウスキャラは過去作の再販はしない方針でした。そのため、「巣作りドラゴン」をはじめとしてソフトハウスキャラの過去作品は常にプレミアム価格でした。

 巣作りドラゴン
巣作りドラゴン
▲ダンジョン経営が面白く今でも名作だと思います。DL版が発売される前は20000円ほどのプレミア価格がついていました。

当時の商業遊べるエロゲに不足していたもの

2000年代のコンシューマーはPS2の時代に入り3Dが常識に、2004年にはPSPやDSが発売し携帯ゲームの普及が進みます。DSやPSPが発売したのも2004年、ゲーム熱がある時期です。フリーゲーム関係はRPGツクールの普及でスーファミの延長上にある2Dゲームが主流となります。エロゲメーカーはRPGツクール、個人のフリーゲーム製作者増加に伴って、フリーゲームを超えるだけの品質を要求されるようになります。PCはムーアの法則が働いており、毎年のように性能が大幅に向上しており、PCのスペックとの相談でそれぞれのブランドが少しずつリッチなゲームを出すようになっていきます。

遊べるエロゲの観点で言えば、上記ブランドは毎年のように品質が向上していく時期になりました。私も当時はワクワクしながら発売後すぐに新品を購入してプレイした層です。その一方で上記メーカーの他メーカーも含めて、ウィザードリィ系ダンジョンRPGやファイアーエムブレム系SRPGが目立つ時期にもなっています。また、ほとんど全ての美少女RPGはメインシナリオのノベルパート+ダンジョン探索の繰り返し構造でした。

これは何となく理由は分かります。美少女ゲームは2000年代以降、CG枚数、プレイ時間、シナリオ分量、主題歌などを求められるようになっていきます。このシナリオ分量を満たすためのゲーム構造はノベルパートを作る手法の方が簡単です。そのためには実質ステージクリア型にして、その前後にノベルパートを入れる方が不自然がありません。

そのため、本質的なドラクエ・FF型の沢山の町・ダンジョンがあり、フィールドを経由してそれらを訪れ、町では住人と会話してダンジョンは探索するような純粋な美少女RPGがほぼ皆無でした。

実際には少しあります。2000年代前半にソニアの「VIPER RSR」、1998年と古いですがZONEの「アスガルド 〜歪曲のテスタメント〜」など。ただし、どちらもお世辞にも売れたとは言えずVIPERの方はRPG関係の品質が駄目でアニメーションだけと言われる始末。失敗した実績ができたおかげで「ドラクエ型の美少女RPG = 売れない可能性が高い」と経営判断されていた可能性もあります。
VIPER RSR
VIPER RSR (FANZAはこちら)
▲RPGには難がありましたが、アニメーションは素晴らしかったかと。新品を購入して痛い目を見た作品。今回はあまり取り上げていませんが、当時の新鋭ブランドが放つ遊べるゲームは事前情報を上手くごまかしてイマイチなゲームを販売することもよくありました。

さらに「Succubus Quest」が発売した2006年は、DSやPSPが普及し始めた時期です。DSは携帯機であると同時に希望小売価格が前後の機種と比較して安価でした(ほとんどが5000円前後)。また、同人ADVのエロゲが広がりつつある時期であり、「エロ」に対してのデフレが始まった時期です。当時のPCで多くの方が遊べるようゲーム品質をスーファミの延長・又はPSレベルのゲームに対して、美少女RPGはフルプライス価格を提示しています。

つまり、ドラクエ型RPGで、且つゲーム性があり、安価なエロゲを求められていたであろう時代が2006年以前です。前回のアングラ系RPGとほぼ同時期の出来事なので合わせて考えてみると面白いですね。次回は2006年までの状況をもう1つの視点で追った上で、次々回からサキュバスクエスト発売以後も見ていきます。

『【エロRPG・同人エロゲの歴史】その2:2000年代前半、遊べる商業エロゲの傾向』へのコメント

  1. 名前:匿名 投稿日:2019/01/24(木) 23:17:11 ID:203e1a898 返信

    > 代わりに、ソフトハウスキャラ、エウシュリーなど今現在活躍している遊べるエロゲを作るブランド

    ここシリアスギャグ

    • 名前:さたける 投稿日:2019/01/25(金) 02:44:12 ID:5e163e065 返信

      まあ、今後に期待ということで。