この世は悪意でできている(製品版感想)

この世は悪意でできている_ステータス4 製品版感想(スクショあり)

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この世は悪意でできている
この世は悪意でできている[Atelier えうろぱ] (FANZAはこちら)

本作は天涯孤独な女の子アイリスが人の悪意にさらされながらも、必死に生き抜く姿を描いたツクール製ノベル作品。マルチエンディング周回前提のシステムにより、様々な結末を迎えます。

まず、人をかなり選ぶ尖った作品であることは注意。15ほどのエンディングがありますが、ほとんどが人の悪意の結果によるバッドエンドです。いざ、幸せな結末になったかと思いきや、エンディングのラスト2行のみのテキストで一気に落としてくることも。とにかく陰鬱な作風です。印象が近いゲームは「壊される氷雪の姫君」や「BAD・END・SLAVES」などが似ているかなと。

アイリスはロリキャラ系で「BLACK PANDA」や「ミニマムゲーム工房」などの主人公が好きな方向け。常に自信無さげで、何かあればすぐに謝り、人の悪意にさらされると怯え、そして人の愛に飢えている不幸系の女性として描かれています。そして容姿が綺麗であるためか、男を惹きつけており、数々の男共が彼女を餌食にしようと狙っています。誰かに威圧的に命令されたり強くお願いされると断ることができない性質もさらに彼女の不幸を加速化します。
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▲馬小屋で暮らしながらも、健気に育った女の子アイリス。

ゲームシステムは分岐するアドベンチャーゲームです。村・町・都の3都市が舞台で、各都市は1画面マップ。その中にNPCがおり、彼らに話しかけるとその時のアイリスの状況に合うようなセリフが出てきます。また、メインイベントに関するNPCは印が付いているので迷うことはありません。
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▲プレイヤーの操作範囲は1画面フィールドに限定しています。その代わり、セリフの変化は細々。
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▲1枚目が体験版範囲の村。2,3枚目が町と都市。先に進むほど分岐が複雑です。

分岐は戦闘の勝敗で判断します。アイリスが相手に精神的威圧を受けているという設定の戦闘で、「勝利」=「嫌な命令は拒否する」であり、逆に「敗北」 = 「嫌なのに相手の要求に従ってしまう」となっています。そして、本作は様々なバッドエンドを見ながらハッピーエンド目指して進むという構造です。
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▲アイリスの心情風景を表す戦闘画面。攻撃・防御などで立ち絵が変化し、着衣差分もあります。勝敗は運や実力と言うよりは何度分岐してレベルを上げたかですね。なので実質的にほとんどの分岐は踏むことになるかと。

基本的に戦闘勝利はハッピーエンドへの一直線ですが、初回プレイだと必ずどこかで敗北するようなバランスです。そして敗北しても経験値は同等に得られ、各バッドエンドはそれぞれ新たなスキルと装備品の入手が行われます。よっていくつものバッドエンドを経ることで強くなり、戦闘に勝利できるようにります。(難易度をEASYにすることで、強引にTrueのみを狙ってのプレイも可能ですが)。

分岐関係はいつでもフローチャートが見れるため、迷うことはありません。

一例を最初の村を題材に行うと、アイリスに欲情した村長が身体を要求してきます。戦闘に敗北すると(初回は大確率で敗北になる)、要求に従い愛人生活。村長の倅にも身体を狙われ、戦闘に敗北すると二人の愛人生活となってしまいます。立場的には肉奴隷であるも、だんだん身体も馴染み、二人に対しても愛情を育みはじめた頃に妊娠が発覚。天涯孤独のアイリスが初めての赤ちゃんで大喜びということでエンドを向かえます。
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▲強引に愛人とされたアイリスは望まぬセックスを何度もすることに。
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▲2人の嫁みたいなエロゲ的幸せエンドかと思ったら、最後にどんでん返し。このような唐突な不幸は本作だと目立ちます。

反対に村長戦勝利・倅戦敗北だと、追い出された後、倅に匿ってもらうことに。倅を「お兄ちゃん」と呼ぶことになり、二人は隠れて相思相愛ラブラブカップルになります。ここがとても幸せそうでほっこり。だけどアイリスを肉便器にしたい村長は倅を騙してアイリスを攫い地下に監禁、さらに倅を町に送った後、男の村人達に奉仕させる売春婦として生きさせることになります。倅も村人の肉奴隷になっているアイリスを見て熱が冷めたのか、単純に性欲発散のためだけに扱うエンド。どちらも不幸。
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▲お兄ちゃん発言によリ、村長ルートとは異なり倅のハートをずきゅん。ラブラブルートになります。
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▲しかし、村長の策略により、アイリスは村人専用売春婦となったのでした。これを目にした倅もアイリスへの愛情が消え肉欲だけに。
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▲モブのセリフは激変。女性はアリイスを貶し、男性はセックスの感想を言うように。

また、最終的に同じシナリオを行うにしても、どのルートから辿り着いたかで細かくシナリオが変化します。ラスボス戦への移動目的でさえ、どの分岐から来たかで消極的・積極的と全く異なる理由で訪れます。

最初の村の場合は、正規ルートである村を追い出される場合、実は3通りのパターンがあります。村長・倅の両要求を跳ね除けた場合は処女を守りつつ、あっけなく追い出されて、寂しく町まで行きます。

これが、倅ルートの場合、(村長戦に勝利して)村長の監禁を逃れた後、二人で駆け落ちしようなどの話が出てきます。もう相思相愛のラブラブカップル。ところが、ここで村長が策略を練り、倅とアイリスはすれ違いのまま別れることに。失恋の痛手を受けながら村を出ていくことになります。村長ルートの場合も、同様に処女ルートよりもドラマが厚め。
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▲男の悪意がテーマですが、村編の元凶はほとんど村長の口からでまかせ作戦。

フローチャートにない分岐としては、処女か未処女かなどでも細かくセリフが変化する場合も。

この様々な分岐バッドエンドや分岐から共通ルートに合流する際のシナリオの違いはマルチシナリオの魅力が存分に詰まっています。私も、ルートそのものが気になってしまい、バッドエンド回収はおろか、全ての合流パターンを見ています。

この流れは町編でも同様ですが、町は序盤から大きな分岐があります。最初の戦闘の勝敗で神父・教会ルートか娼婦のオカミルートに大分岐します。同じ町ですが、一旦分岐したらもう片方のキャラが出てくることはありません。また、町のモブ関連もそれぞれのルートでセリフが変化します。

教会ルートでは清く生きてきた神父が、行く当てのないアイリスを引き取ります。ところが、清く生きていたはずの神父がアイリスに欲情してしまいます。神父の魔の手にどう立ち向かうか、受け入れるかの話が展開します。逆に娼婦ルートは、ゲセンの女性に騙されてアイリスは娼婦の契約をしてしまいます。でも、その女性からは厳しくもアイリスへの愛も感じ始めて……。アイリスは娼婦として生きていくのか、それとも女性から逃げ出すのか…..。
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▲長年の禁欲生活のためか、狂信者のような暴走をする神父ルート。エンドも衝撃的ですが、都市編への移行も一種のメロドラマ+サスペンスになっていて面白かったです。
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▲娼婦ルート。進み方によっては感動的なお話になります。内容的に涙線に触れる話も多くエンド、都市ルートへの移行共に考えさせられます。

都市編は、縦方向の分岐になっています。あるイベントに関わることになり、そのままイベントを達成するとエンド、イベントの途中で棄権すると次の話に……という風に様々な勢力に関わっていきます。新たな勢力に関わることで前の勢力との利害関係も発生して……と、同じ都市の人間的な関わりにも焦点を当てています。

全編を通して「悪意」にさらされる女の子を描く作品なのですが、実は悪意を持つ人間は作中でもあまりいません。上記神父でも最初は善意で彼女を教会に住まわせて仕事を割り振っています。娼婦のオカミも最初は仕事を覚えさせるためにダンスなどを厳しく指導しています。

だけど、欲情の暴走、政治的な問題の押し付けるなど、一部の人物が自己保身を図るためアイリスが被害者になり、悪意を表現しています。バッドエンド系は、緩急の付け方が上手いなと。基本的にほとんどのバッドエンドも幸せ期間があります。肉奴隷とは言え幸せに生きていた瞬間に突然悪意により不幸なことが訪れるなど、幸せからの絶望は破壊力がすさまじかったです。
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▲状況次第で常に変化するステータス。
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▲バッドエンドエンディング。実際プレイすると悲壮感みたいなものがじわじわ来ます。たとえアイリスが笑っていたとしても。

また、不幸なだけでなく、町編以降は確かな絆も生まれます。アイリスの事を真剣に考える人物もおり、その時点での不幸な出来事も後から見ればアイリスの一部と思える素敵なドラマもあります。現実的には処女ルートでクリアすると物語が薄いのですが、村編で村長の倅とラブラブ関係になったり、町編で娼婦業をしながらも、最終的には都市編へのルートと合流することにより、アイリス自身の過去にも厚みが出てきます。その時の悩み・安らぎがアイリスの血肉となっています。
この世は悪意でできている_話1 この世は悪意でできている_話2
▲アイリスが両親の手がかりを見つけるルートがあるのですが、実は全ての戦闘に勝利していると不可能で彼女は何も知らずイベントが進みます。是非、このルートは通ってクリアしたい

もう1点、途中エンドには、必ずしもバッドでない結末もあります。売春などを含むものの、それでも明確に幸せだと言える結末が町編・都編それぞれ1つ以上あります。

クリア時間は約5時間ほど。回想は22種。シナリオのコンセプト上、間違いなく人は選ぶのですが、「様々な体験を重ね、様々な人と出会い別れて生きていく女性」のドラマは、非常に読みごたえがあります。分岐によって変化する物語も並行的な面白さがあり、RPG的な読み物が好きな方は一度チェックしてもよいかと思います。

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