【エロADV感想】鉄格子の番犬(製品版)

鉄格子の番犬
鉄格子の番犬[7センチソフト]

通称ブタバコと呼ばれる双葉更生学園の2年生に転入した謎の少年、本郷明人が主人公。民間軍事組織「双葉」が運営するこの学校は行き場のない人を保護、生徒として扱う代わりに将来は双葉の傭兵として働くことが約束されます。それでも平和的に暮らしていた生徒達。ところが主人公が転入した初日の始業式に担任から「お前たちには一年間、殺し合いをしてもらう」。

本作はERODEシリーズに続く7センチメートルの一般価格作品。安定して読めるツクール製のちょっとエッチなライトノベル風ADVです。

鉄格子の番犬は、明らかに従来の7センチソフトとは異なる路線です。それまで短編RPGばかりを製作していたサークルさんがERODEを発表した時は、本来やりたいのはこの系統のゲームだなと感じていました。読み物色の強いERODEシリーズは定期的なダンジョン戦闘も用意しており、いわゆるダンジョンRPG + ビジュアルノベルなメインシナリオパートの組み合わせです。その他短編作品も基本はRPGパートが主でした。

本格はERODEからRPGパートを除外し、探索+ビジュアルノベルとして製作されています。ダンジョンみたいなマップはいくつかありますが、雑魚戦闘は一切ありません。あくまでイベント用に作られています。たまに発生するボス戦もイベント戦のような扱いで戦略を練る必要も無く勝利できます。その一方で学校や傭兵の町などのマップも存在し、ダンジョンや町には同級生がそれぞれどこかに配置されています。彼らメインキャラ同級生、モブ同級生、先生、そして町やそのダンジョン固有の人々のセリフは定期的に全て変更します。

読み物RPGとしては理想的な環境を作り上げており、熱血系ビジュアルノベルが好きな方には勧めたい作品です。似ているゲームとしては「暁の護衛」や「グリザイアの果実」など。熱血面では多少両作より演出が控えめですが、テーマなどは似通っている箇所があります。

男女含めて大多数の立ち絵ありキャラが物語を盛り上げます

本郷の立ち位置はERODEシリーズと同様に俺Tueee系。明らかに歴戦の経験がある思考の鋭さ・危機感・武力を見せつつ、双葉学園の2年生に転校した一般人として学内で過ごします。本人はバレていないつもりですが、周りからはすでに一目置かれている状況。

今作の特徴としては、とにかく主要キャラが多い。女性陣は男装のルームメイト、お嬢様体質で友人がいないクラスメイト、男勝りな隣クラスの女性、優等生で切れた才能を見せる女性、普通の可愛らしい女の子など、男性陣も外見不良ながら優等生の問題児、優秀だけど冷徹な生徒、先生方も担任と理事長など大量の立ち絵キャラが登場します。ちなみに3年に1回生徒を集めるため、他の学年はいません。
鉄格子の番犬_キャラ1 鉄格子の番犬_キャラ2 鉄格子の番犬_キャラ3 鉄格子の番犬_キャラ4
▲登場人物の多いゲームです。

鉄格子の番犬_イベント1 鉄格子の番犬_イベント2 鉄格子の番犬_イベント3 鉄格子の番犬_イベント4
▲シリアス場面はとことんシリアス。

彼らと日常会話を繰り返しつつも、学内では特定行事が行われます。遠足・武闘会・修学旅行……etc。この学園の行事なので、まともに楽しんで終わるわけでは無く……。行事によっては銃を持った死刑囚が暗躍し、捕まると拷問が待っている催しものが開催され、武闘会では生死を問わず。1年間が描かれる作品ですが、シナリオが進むごとに死人も出ます。そして学内に高まっていく緊張や精神的におかしくなりそうなキャラ達、友人が死んだ男……etc。そして孤島、逃走すると必ず事故死、監視された学園。暗躍する双葉の傭兵など学園にも秘密があります。この学園の中で本郷は、男女含めて様々な生徒・先生と既知になっていきます。
鉄格子の番犬_極限1 鉄格子の番犬_極限4
▲極限状態の生徒達

ずばり、本作のテーマは成長です。本作には立ち絵ありキャラは約20名前後おりますが、生徒達1人1人に出番を用意し、活躍し、葛藤を経て成長していきます。

なお、シナリオ構造上、有難いことに立ち絵ありキャラも序盤、一気に紹介することはありません。そのキャラを重要人物として扱うシナリオになった時に初めてしっかりした紹介が行われ、それまでは名前「???」の顔有りモブNPCみたいな扱いです。そのため、キャラが沢山いて覚えきれないということは間違いなくありません。男キャラも含めて全員に何らか重要な役割があり、その時に紹介されます。

多少優遇されているキャラもいますが、男キャラも含めて立ち絵有りキャラ全員がほぼ同等に活躍し、同等に過去の悩みを持ち、そして同等に成長します。フローチャートとしては「顔有りNPCとして気になる存在」→「名前ありで紹介される→重要イベントで好感度アップ」→「日常会話でさらに好感度アップ」→「キャラの過去が明らかになったりと重要イベント」→「キャラが悩む」→「最終イベントでキャラが成長し活躍」。こんな感じです。それぞれ見事なほどにばらけた個性のため、キャラ同士の交流などがすごくコミカルに描かれています。また、成長物語ですが、序盤の弱点も「臆病で戦闘できない」「敵は殺してでも生き残る協調性が無い男」「仲間を守ろうとしても震えて失敗する」など明確に何が弱いのか分かるキャラばかりなので成長後のキャラ達も一皮向けたなと実感できます。
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▲協調性の無い彼女を救うイベント。これは体験版のイベントですが、彼女は優遇されており、以後も友人を作らせるために主人公が奮闘したりして、存在感のあるキャラです。

ただ、一部は重要イベントや過去の紹介が最終イベントと被って好感度が上がる前にエンディングを迎えてしまったりと不遇なキャラも何名か(男性限定ですが)。また、日常会話も楽しみの1つのため、序盤に紹介されるか中盤に紹介されるかでもクリア後の印象が随分と変化します。

俺Tueee系ヒーローのハーレム物語

その中で一番の成長は間違いなく主人公の本郷です。

まず本郷の詳細な紹介からいきます。彼は序盤からとにかくかっこいいキャラです。「同級生の危機に颯爽と現れて敵を排除」「事件をスマートに解決」と他の男そっちのけで良いシーンを掻っ攫います(ちなみに他の男子も立ち絵のみとは言えかっこいい見せ場はあります)。女の子が困っていれば「俺を頼れ」、女の子が精神的に悩んでいれば問題を解決。男が危機に陥ったも仕方なく加勢。まさしく学園救世主のようなキャラです。時々エロ無しCGも入れてさらにカッコよさに磨きがアップ。
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▲助けつつも、女の子達に行動の助言も与える主人公

さらに可愛い女の子を見れば容姿を褒めて、キザなセリフを発し、口説きにかかります。女と見れば節操無しな欠点もありますが、この口説き文句が本当にかっこよい場合もあり、「あっ、これ女なら惚れそうだ」と思うような状況に合わせた適格なセリフです。
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▲惚れた後の女の子が可愛い。

ここ、作者さんのテキストセンスが光っていて、「本郷はかっこよくてセリフも上手い」という言葉ではないのです。そんな言葉は一切使わずにセリフそのものもセンスがあります。状況によるセリフも本当に女の子がその時欲しそうなセリフでありキュンとなりそうなテキストばかり。説得性が実際にあります。そして身体と心を許すチョロインが大量に発生してしまいます。

このセリフセンスはエッチの時も働いており、エッチ中に女の子がドキュンときそうなセリフをどんどん呟きます。エッチシーンは各女の子2~3,4種用意されています。主人公は結構強引なので、守る代わりに報酬、可愛いからヤるぐらいの認識で女の子に迫ります。そのため1回目は軽くレイプ風味(気になる人が強引に迫ってきたレベルでエロゲだと和姦に入る範囲)で始まりますが、この口説きセリフから女の子は彼に気持ちを許してしまい、全力で身体を預けるようになります。2回目以降のセックスは完全同意の元ですね。
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▲スケベエなセリフから始まりだんだんと女の子の身体や性格を褒める描写、そして女の子の身体を高めるエッチで女の子は身も心も委ねるようになります。
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▲性欲に正直な男。口説く時と同レベルでエッチな要求も直接述べる性欲魔神です。女の敵だけど、本作は自分の身体を褒められながら直接要求されることに弱い女の子が多いので……。

鉄格子の番犬_選択
▲どこでも選択肢があると必ずセクハラみたいな選択肢が。女の子も怒りながら満更でも無い様子。

かっこよくて、優しくて、言って欲しい言葉をかけてくれる、こんな女にモテそうなキャラもなかなか作れないでしょう。

と、ヤリチンだけど完璧に見えますが、主人公とナビの独白や事情を知っている教師陣との会話などから見える彼の素顔は、「問題を解決するためなら平気でそれまで仲間だった味方を見殺しにする」、「女はセックスをするために仲良くする」、「人との交流に喜びが無い」などの冷徹で他人に無関心な一面が見えてきます。
鉄格子の番犬_ナビ1 鉄格子の番犬_ナビ2
▲ナビゲーターの女の子もヒロインの1人。プレイヤーも本郷も彼女の素顔をしりません。常に本郷をモニターしているので彼のセックス現場は全て見ています。本郷はセックスを狙っているようですが、さて、彼女を見つけることはできるでしょうか。

もう、本郷の欠点は分かりますね。本郷に関しては主人公であることから、過去話も専用のイベントが用意され、ヒロイン達や男共と交流することでわずかに変化していく姿が描かれます。学園で翻弄される生徒達の成長とは、また異なる成長を遂げるキャラとなっています。
鉄格子の番犬_目的1 鉄格子の番犬_目的2
▲序盤から主人公の弱点は明示しているため、物語の流れは読みやすい。だけど、その熱い流れがたまらなく面白いんですよね。

そして、もう一つ重要な点は本郷によってヒロインや男キャラが成長させていく主体性があることです。若手ながら豊富な経験を匂わせている彼はとある理由で生徒達を生き残らせようと守ろうとします。女性キャラはおっぱいやセックスフレンドを守るため、男キャラは本人もよく分からずなんとなく。その手段はちゃんと守るだけでなく、時には彼女達が成長するため鬼になることも。この裏で彼女達を守ろうとこっそり動く姿がかっこよく映ります。
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▲男達との交流。本当に序盤は女性ばかりに興味を持つので、男生徒とまともにコミュニケーションを取り始めるだけで少し感動が。

ちなみに、当サイトにもわずかにいる女性ユーザーにも全力で勧めたいタイトルです。まあヤリチン野郎じゃない?と聞かれたら否定できない悲しさがありますがとにかく、この主人公がかっこよくてかっこよくて。

テキストセンスや構成力が格段と上がった製作者

ERODEの頃はライトノベル風味のシナリオと俺Tueee系をエロRPGに組み込んだゲームと思っていましたが、シナリオ作りに慣れたのかERODEシリーズよりも断然とシナリオ構成力と文章力、そしてストーリーを盛り上げるためのツクール的ギミックがレベルアップしています。

まずは上記で述べたように新キャラの登場数を制限して小出しすることにより、多数のキャラがいる本作でキャラが覚えきれない現象を解決しています。

また、こちらも上記でも述べましたが、セリフ廻しが上手いためとにかく主人公が魅力的です。このセリフ廻しに関しては主人公だけで無くヒロイン達や男生徒達にも当てはまります。無口な女の子は無口ながらたまに喋るセリフはそのキャラらしいセリフです。一見普通の女の子が弱みを見せた後、主人公を頼りだした以後の会話の弱弱しさや、その後の成長後のセリフなど場面場面のセリフを使い分けることで登場人物達が変化していく姿を出しています。

ネタや伏線の出し方も上手く、熱血系でありながらミステリーのような「先を考察したくなる」魅力にも溢れています。プロットの進み方も上手くて、先が読みたくてたまらない状態を作り上げています。シリアスなメインのイベントだけでなく、学内を探索してNPCやサブキャラ達と話すだけ(しかもメインシナリオ発生箇所はすぐに分かるので省略できる)の日常場面も面白く作られています。サブキャラ達のセリフも面白いし、顔無しモブキャラも同じ場所にいるキャラは同一人物扱いなのか、場面ごとに変化するセリフに連続性があります。
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▲言葉のセンスが感じられます。2枚目はいつも主人公をモニターしているナビへのからかいのセリフ(主人公は学内の女生徒を次から次へと食っているので)。

学内だけでは飽きてしまうので修学旅行や遠足などで新たにわざわざマップを作り、敵では無く生徒を配置して学内とは雰囲気が異なる解放された生徒達の会話を楽しめます(たいてい、その後のイベントで阿鼻叫喚の嵐と化しますが。また、武闘会は完全に読むだけのビジュアルノベルパートですが、特別な演出手段を用いて飽きないように工夫しています。

そしてシリアスパートだけでは無くコメディ系統が本当に面白い。一部シーンでは声に出して笑ってしまいました。まずは主人公が女の子と会話する時、たまに表示される選択肢。真面目な選択肢よりもセクハラ系の方が目立ちます。そして、反応は1クリックだけでは終わらず、その選択肢専用の小ネタが用意されています。その他登場人物どうしの会話シーンはキャラの個性を生かしたギャグを次々投入しており、読み応えがあるでしょう。
鉄格子の番犬_コメディ1 鉄格子の番犬_コメディ2
▲日常イベントもコメディセンスが磨かれているので、なかなか面白い。この点はERODEの頃より作者の技量が上がっているなと感じる部分。2枚目は男装女性キャラに信用していると言われて同じ部屋なのに攻め込めない主人公の葛藤。

また、基本的にダンジョンや戦闘はありません。が、実はある箇所でダンジョン探索、敵を倒してのポイント貯めなどRPG的なシステムが導入される章が1種のみ存在します。このシナリオがまた憎い演出で、何のためにそんな仕組みを導入したか考えると「キャラの成長を最も実感させられる手法だったため」につきます。特定キャラと一時的にパーティーを組んで戦ったり、各ヒロインと2人きりで過ごしてエッチしたりと本編よりも各キャラへの没入度が高く、RPG的に感動を与える手法をしっかり考えた結果、敢えて戦闘要素を唯一用意したのかと思われます。

ちなみにクリア後は学園を自由に動けるようになります。一皮剥けた生徒達と会話したり、ヒロイン達とはキスやセックスしてイチャイチャすることも。おまけなので生徒達の長文イベントはありませんが、1クリック分の文字に心から何かこみ上げてくることも。なお、(生徒達にイベントはありませんが、一部キャラにクリア後専用イベントがあります。目指せハーレム王!。

クリア時間は4時間ほど。回想は28。各キャラ2~4ほどのエッチシーンです。いやー、正直に面白い物語でした。和姦系エロは物語やキャラに魅力を感じるかどうかが重要だと思うのですが、その点もクリアしています。いつもハードなエロが好きで同人をプレイしていますが、たまには甘々セックスやただの同級生がセックス中の会話でキュンとする姿とかたまらないですね。そして、クリア後の余韻も感じられたので、熱血青春物語が好きな方は是非チェックを。

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